今回のミーティングでは、日経新聞の特集記事「未来面2012」に掲載された、経営者の提言「ふたたび世界をリードする日本を始めよう 三井不動産・岩沙弘道会長」をもとにして、各人の意見交換を兼ね、議論を行いました(元記事は、日経WEBサイトにてご確認いただければ幸いです)。ディスカッションでは、筆者の主張である、「日本は、今後世界各国が直面するであろう課題をいち早く解決できうる立場として、再び世界をリードするべき」という主張に対し、各人が自らの賛否を表明し合いました。最後には、時間の制約から、日本が課題解決先進国となるためには具体的にどうすればいいのか等の発展的な結論にまでは至らなかったものの、お互いの、これまでの仕事上での経験に裏打ちされた国家観や社会の現状認識を聞くことができ、刺激的でした。
以下、簡単にディスカッションで出た意見を紹介します。
意見A)日本が課題先進国になるべきだとは思うが、今の日本政府の政策や意志決定の構造をみていると、他の国の1歩2歩先の政策をできるようには見えず、今後も他国よりも先進的な取り組みを行えるようにはなれないだろう。課題先進国となるためには、統治システムの改革が必要になる。
意見B)何も、国単位でものごとを考える必要ないし、国を挙げてやろうとしてもできはしないだろう。政府の役割はあくまで最低限のインフラの整備であり、個々の日本人・企業が、課題解決能力を有し、国際的な視野を持ち、世界中の人々と対峙・協働すればそれでよい。そして日本に適用すべきものは逆輸入すればよい。明治時代、坂本竜馬は土佐から飛び出し日本大で物事を考え、行動していた。それとのアナロジーで考えれば、今の日本人は、日本から飛び出し世界大で物事を考え、行動できさえすればいい。少し飛躍するが、日本には世界と同様の誇れる文化や価値観(漫画や奥ゆかしさなど)があり、課題解決先進国になることは、そのような特有の財産を失いかねなく、基本的には日本の財産・長所を伸ばしてく、大切にしていく方向でよいと思う。そして、明治時代のエリート教育のように一部の人間が日本の短所・問題点を把握・認識して、上記のように行動を起こせばよいし、行動を起こせる仕組みを用意すればよい(例えば、ダボス若手メンバーの養成とか)。
意見C)グローバル都市ランキングにおいて、経済的にはトップクラスの東京が文化・交流面での弱さからトップランクに入ることができていない例に示されているように、経済、環境、技術開発の分野では世界をリードすることはできるかもしれないが、文化・交流といった分野では世界をリードすることはできないだろう。
意見D)企業は国籍などあってないようなものだが、国民はなかなか自由に住む国を移ったりできないので、今回の国を単位にしたテーマ設定もあながち無意味ではない。日本は課題先進国になるべきであり、それ以外に希望が持てる針路は思いつかない。少子化、高齢化、災害など、逆境こそが日本の財産だと思う。日本は国内外のヒトモノカネ知恵を集めて課題解決する実験場になりえるのではないか。また、政府にもできることの限界はあるわけで、それを認めることで、傍観者・評論家に徹する国民に当事者目線になってもらえないだろうか。一方で、
政府は社会のビジョンを示す「旗振り役」をもっとするべきで、国として決めた方針をちゃんと広報・コミュニケーションし、国民一人一人の目線を合わせていく必要がある。
以上です。