施井さんは、外資系消費財メーカーに10年間勤められたのち、「次の10年間は、現場に近いところで他のことをしてみたい」という思いと、個人的に行った地方への観光旅行の経験から感じていた「日本の地方がもつ素晴らしい魅力を、地元の人自身もあまり気づいていないのであれば、自分も何か役に立てるのではないか」という思いから、思いがけないご縁もあって、現在同地の観光協会で勤められているとのことでした。
赴任して彼女が考えたのは、観光で訪れる「外の人」が、「いいな」と思う視点に、観光地に住む「内の人」がもっと自信を持ってもいいんじゃないか、ということでした。ビジネスの世界で培ったマーケティングのスキルを生かし、地元の新聞社などマスコミへのPRを行うことで次第に全国放送でも頻繁にみなかみ温泉をとりあげてもらうことに成功し、自治体という中立的な立場を生かして一般企業ではなしえないであろう規模のメディア露出ができた、とおっしゃっていました。
施井さんは、さらに、「内の人」がもっと自分の地元に自信をもってもらうことの一環として行った、地元の人が地元の人を案内し、温泉地として地域の活気とつながりを再生するまちづくりイベント「みなかみオンパク」の発足・運営にも携わられるなど、精力的に活動されているとのことです。メンバーは、施井さんが観光協会職員という立場から、みなかみ町を活性化するために様々仕掛けている様子に大変刺激を受けました。
○温泉で有名なみなかみ町には、その他にもカヌーなどの川遊び、フルーツ狩り、スキー場など、老若男女が季節を問わず楽しめる「観光資源」にあふれており(メンバーも、一泊して大変満喫させていただきました)、この点大変に恵まれた土地だと言えます。ただ、みなかみやその他有名な老舗の観光地以外について、他と競争して今後観光資源を発掘していくよう努力すべきとも思う一方で、私は、観光だけでもきっと限界があるのだろうから、観光以外の方法でも東京に集中しすぎたヒト・モノ・カネが地方に還元されるような仕組みはないものかと、自分の地元の閑散とした様子を振り返り思ってもしまいました。それはさておき、みなかみはとてもいい温泉地でした。また皆で訪れたいと思います。
○みなかみで奮起する施井さんは「日本の各土地に魅力的な資源は無数に存在する。しかし問題はその土地に住まう人の“奥ゆかしい(控え目な)”人柄故にそれを認識し、自身持って外に魅せていない事だ」と指摘する。これに対して施井さんの取組みから、しっかり外の人の視点から科学的に考察し、その土地の資金繰りも賄えるほどに魅力を代弁する人が必要である事を学びました。今後、「では、それは誰?」と聞かれた時に、「一つは企業の腕利きのマーケターです」と施井さんのみなかみでのお話を参照し、語り継ごうと思います。
○話を聞いていて感じたことは、仕事で身につけたスキルの重要性。目の前の成果を出すためにまずデータをとるという発想、マスコミとのつきあい方、そして内容のつまった人を飽きさせない即興のプレゼンテーション。自分は仕事の中でどのようなスキルが身につけられだろうかと考えさせられました。また、お話の合間に垣間見えた「余所者」だからこそできることとその苦労。人間力も非常に重要なスキルの一つだなと思いました。